フリーターは正社員の夢を見るか?
「ただいま。」
家に帰ったとき、その言葉を声に出しても、返す者はいない。一人暮らし。フリーター。23歳。
北東北。花と緑豊かな、山と田んぼに囲まれた、のどかな土地に産まれた。
「生まれてきてくれてありがとう。」
感謝の言葉を受けて生まれたはずなのに。
今は生きていてごめんなさい。この気持ちしかない。
去年、新卒入社した会社を辞めた。
北陸の食品工場。はじめから、やる気はなかった。
去年、千葉に引っ越した。
駅前は雑多。ゴミが散らかり、治安が悪いことで有名な地に。
決して都会とは言えないが、スーパーや百貨店、駅ビル、ファストフード店は全て揃っていて、生活に不便はない。
ここから、私の第二の人生が始まる。
先のない未来に、淡い希望を抱いて。
なんやかんやあって2020年。
新しく、カフェでバイトを始めた。
ご注文、お伺いします。
ブレンドコーヒー。
ブレンドコーヒーですね?
お会計300円でございます。
お先にお品物、失礼いたします。
300円ちょうどいただきます。
レシートでございます。
ありがとうございます。
学生が7割、社会人、主婦、フリーター、社員が3割で働く環境。
一人暮らしのフリーターは、自分だけ。
学生にタメ語を使われているけれど、分け隔てなく接してくれる先輩には感謝している。
バカにされているという気持ちを抱きながら。
コロナ禍、掛け持ち先のバイトが休業。
カフェのシフトも削られた。
晋ちゃん(内閣総理大臣首相・安倍晋三)から貰う10万円で生きる。
感染者数は毎日増えており、死者も出ている。
人はいずれ死ぬ。
健常者も、異常者も、権力者も、フリーターも。
生きていられることが幸せなら、人は死んだらバッドエンドだ。
恋人を守って死んでも、老衰で家族に看取られて死んでも、孤独死しても、通り魔に殺されても、全ての死はバッドエンド。
ハッピーエンドなど存在しない。
にも関わらず、映画や漫画、小説では死が美しいもの、尊いものとして描写されている時がある。
死は絶対的にバッドエンドであることに変わりはない。変わるとしたら相対的なもので、個人の主観によるものだ。
人は、毎日、1分、1秒でもその一瞬がバッドエンドに向かっている。変えようのない運命。事実。
鬱病の人は、何のために自分は生きているのかを考えがち。生きる意味とかない。無力。雑魚。底辺。バカ。アホ。間抜け。タコ。ナス。
生きる意味、生きがい、楽しさ、幸せを見出すことができたら、その人生は豊かなものになるのだろうか。
何もわからない。わからないから考える。考えても答えが出ない。
何もわからないから、働く。非正規雇用でも、短時間でも、1分1秒でも考える時間を減らすために。働いている時間は、余計なことを考えなくて済むから。
今日も、働く。
フリーターは働く。
P.S.
実際は、コロナの影響でほとんど働けていませんw 毎日昼に起きてぐーたらぷーwああ、幸せw