ゴミの山

便所

ノスタルジックな悪夢

寝坊した。

 

母親が「もう学校行かなくていいよ。」と部落弁混じりでどなりつけてくる。

母親がどうしてヒステリックになっているのか自分には全く理解できない。

1度だけ、たった1度だけ寝坊してそのまま学校を休んだだけなのに。

 

全てを放棄して学校の近くをトボトボ散歩していたら、廃小屋にまるまると太った柴犬がいた。汚くて、無邪気で、可愛い。近寄ると尻尾を振ってこちらに向かってきた。

「あらあら、可愛いねぇ〜〜。」

もふもふのむちむち。

さながらとなりのトトロ(1988年スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画)に出てくるネコバスのような触り心地。

あとにして、虚無と田園風景が広がる一本道に向かう。柴犬がついてくる。

「よしよし。」柴犬を撫でていると、至って普通のワゴン車が止まった。

「君、乗って行かない?送るよ。学校は?」

人当たり良さそうなおじさんが声をかけてきた。子綺麗な格好で、でもおじさん。全てがどうでもよくなっていたから怪しいとか、気持ち悪いとか、何も考えなかった。

「学校はいい。」

「どこか行く?」

「池…山の奥の、池行きたい。」

遠い昔の記憶。部落の山の奥の脇道に入ると、池があったことを覚えていた。ふと、思い出した。おばあちゃんと軽トラで田んぼの様子を見に行くついでに、いつも池を眺めていた。そんな気がする。

おじさんは快く何も言わずに車を出してくれた。大きな、古びた寺の前の坂道を上ると、普段は人がいない山の上なのに、人と車で溢れかえっていた。今日は何かイベントがあるらしい。人だかりを抜けて脇道に入ると、青と白の綺麗な教会が見えた。教会なんてあったっけ?

教会が見えた瞬間、自分は何かそこ知れぬ恐怖を感じた。根源的な恐怖。崖の上に立たされているかのような。

怖くなり、おじさんに

「やっぱり帰る。」

そう告げたけど、おじさんは聞かない。

着いたのは池ではなく、小さなガレッジ。

「池は?」

おじさんは答えない。

小さなガレッジの中から知らないおじさんが2人でてきた。

おじさんの様子がおかしい。言葉遣いは汚く、出会ったときとは別人に見えた。

やっと悟った。

はめられた。

自分は誘拐されたのだ。と。

おばあちゃんと行った、池の記憶。

美化された池の記憶。

整備されていない汚れた池だったかもしれないけど、その池は紛れもなく自分の中で素敵な思い出だった。

その池を踏みにじられたような気がした。

 

おじさんが自分に向かって何を言っているのか理解できなかった。でも、何か嘲笑気味に喋っていた気がする。

 

気がついたらおじさんの首を締めていた。

おじさんは死んでいた。

他のおじさんは消えていた。

 

脇道で人気の少ないガレッジなのに、どこからか大勢の人達が湧いてきた。

 

「おめでとう!」

拍手。大喝采。クラッカーが鳴り、讃えられた。

自分はゆっくりと、にっこりと笑った。

 

ここで夢は終わった。

 

かくして、今日も始まる。

2020年9月2日の一日が。

 

P.S.

※ブロンを飲み過ぎると、たまに意味不明な悪夢を見るのでみなさんはやめましょうね🥴彼くんとブロンODはやめるだなもーっ‼️